季節を取り零す
昨晩は、目覚ましのベルを5つもかけて眠った。

だが、結局のところ、慣れないアルバイトへの緊張のために、ベルが鳴る前にかんぺきに目が覚めた。
深く考えず、玄関に掛けてある、黒くてぶ厚いフェルトのコートを着て家を出る。
しかし、アルバイトを終えた頃、外はずいぶんとあたたかく、汗をかきかき、家へと帰った。
帰り道、遠くにかすかに見えた桜並木は、わたしの知らない間に、たくさんの花を咲かせているようだった。分厚い黒いコート。自分がまだ、ちいさく縮こまった冬に取り残されていたことに気付く。
大人と呼ばれる歳になり、いろいろなことに鈍くなってしまったのだろうか。
家に着き、遅い昼食を摂り、部屋の窓を開け、お香を焚いた。
窓を開けているといろいろな音がする。
飛行機の風切り音、車のエンジン音、カラスの鳴き声、サイレン、こどもの笑い声、誰かのいびき。
たまのしょぼたま2と恋人が作ったインストゥルメンタルを聴きながら絵を描いた。
今日はアルバイトで叱られることが細々あり、落ち込んでいます。みなさんはいかがお過ごしですか。
職業柄、さまざまな人がわたしの元を訪れて去っていく。たくさんの顔のいろいろな表情がわたしを捉えて、そして消えていく。その流れが近頃はグロテスクに感じられる。
2024/4/7 さきふみこ